上原ゼンジ写真実験室ブログ

Zenji Uehara
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    電子書籍のカラーマネージメント
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       自分で電子書籍化しようと思っていた「キッチュレンズ工房」だが、書籍化した出版社の方で電子書籍化しないかという話になり、今準備をしている。この本は元々、日刊デジタルクリエイターズでの連載原稿が書籍化されたものだが、次のような段取りで、作業は進められた。


      ◇まずデザイナーさんがフォーマットを作り、テキストを流しこむ。

      ◇私の方にInDesignデータが届き、写真とキャプションを入れて戻す。

      ◇デザイナーさんが、ブラッシュアップをして初稿のできあがり。


      たぶんInDesignでやりとりする著者というのは多くないと思うが、こちらとしては文字量が分かりやすいし、原稿と図版を対応させる手間も省けるというメリットもある。


      印刷会社には、InDesignファイル+画像ファイルで印刷入稿する場合もあるし、PDF化したものを入稿する場合もある。ただ私の付き合いのある印刷会社の場合はPDF入稿を勧めているし、最近はチラシやハガキなどのネット入稿の印刷会社などでもPDF入稿の場合はポイントプラス、なんていうサービスをしているところもある。PDFならリンク切れなどの心配もないし、きちんとプリフライトチェックをしておけばエラーも少なくなるからだ。


      InDesignのドキュメントにRGBの画像データを配置しておけば、そこから印刷用のCMYKのPDFや、電子書籍向けのRGBのPDFを書き出すことは簡単だ。いったんCMYK変換、リサイズ、シャープネス処理を行ったデータをRGBに戻すとなるとどうしても画質の劣化は避けられない。いったんCMYK化してしまうことにより、色情報は印刷の色再現域に圧縮されて、鮮やかさを失ってしまう。


      また、印刷向けのシャープネス処理というのが、画面で見て「ウッ!」というぐらい強めにかけてちょうどいいという感じなので、そのファイルをRGBに戻したとしてもきれいな画像にはならない。RGBの元データからsRGBに変換し、ディスプレイ上でちょうどよく見えるようなシャープネス処理をほどこすというのが、電子書籍向けの理想的なワークフローということになるだろう。


      ただし、これをやるためには、レイアウトソフトのドキュメントにRGB画像を配置しておくというRGBワークフローが前提となる。とりあえずCMYKに変換してしまい、それを配置するというやり方はナシだ。そして、色校正、文字校正が済んだ最終的なデータをきちんと管理しておく必要がある。デザイナーが管理するのか? 印刷会社が管理するのか? 出版社が管理するのか? たぶん今まではRGBデータをきちんととっておく、なんていうことは行われてこなかっただろうから、電子書籍化を視野に入れるのであれば、こういったデータ管理の方法はきちんと整理しておいたほうがいいだろう。


      ●iPhoneはカラマネされてない。じゃあiPadは?


      現在、すでに雑誌をPDF化して電子書籍として販売するというようなことは行われているが、RGBワークフローというようなことが行われているかと言えばちょっと疑問だ。まあ小さな画面でちょっと見るというような場合はそれでも構わないが、PCやiPadでビジュアル誌や美術書を読む、なんていうことを想定した場合は、画面上できれいで忠実に色再現される方法を考えるべきだと思う。


      たとえばCMYKのドキュメントがあり、それを電子書籍のビュアで表示させたとする。あるビュアでは、表示自体ができない可能性もある。またあるビュアでは「とりあえずRGB化」したせいで、「残念な色再現」になってしまう可能性もある。デバイスにより、なりゆきで色がちょっと変わるというのはしょうがないけど、意図しない色変換のせいで、変な色になってしまうというのは、ちょっと困る。


      実際のところ電子書籍のカラーマネージメントというのは、どうなっているのだろうか。私もよく知らないのでご存知の方がいれば教えていただきたいのだが、電子書籍の規格でカラースペースの取り決めやICCプロファイルへの対応というのは、どう定義されているのか? 私の予想では、「カラースペースはsRGB、ICCプロファイルへは未対応」という感じなんだけど、これで合ってますか?


      とりあえずiPhoneで検証用のPDFを表示させてみたんだけど、カラーマネージメントは効いてませんね。これは純正メールソフトとSafariで確認した結果だ。ということはiPadもICCプロファイルによるカラーマネージメントはサポートしてなさそうだな。MacBookなどとは、ちょっと違うものだと認識したほうが良さそうだ。


      それから、Adobe製の電子書籍ビュアソフトであるAdobe Digital Editionsで同じ検証用のPDFを表示させてみたのだが、これはAdobe Acrobatで表示するのとは、また違う結果になった。電子書籍用だからカラーマネージメントしてないのか? と思ったのだが、実際にはカラーマネージメントが効いていないのではなく、「電子書籍ではこんな感じの見え方になるよ」というシミュレーションをしているようだ。


      こんな複雑なことをやるのはAdobeぐらいだろうから、ほかのビュアで見たら、また色は変わってくるはず。色はアプリケーションによっても、OSによっても変わってしまうということ。さらに様々な端末が開発されている現状から言えば、デバイス間での差も広がり、電子書籍の色は無法地帯になってしまう可能性がある。


      じゃあどうすればいいの? という話だが、正しい方法でsRGBのデータを作り上げ、プロファイルを埋め込んでおけばいい。プロファイルをサポートできる環境であれば正しい変換が行われるし、サポートしていない環境でもトンでもない色になるわけではない。


      もしCMYKのデータであれば、変換した時と逆の計算をきちんとしておいてやればいい。この計算が管理できないと、どこかで意図しない色に変換されてしまう可能性があるということだ。


      どうせうまく色をコントロールできないのだから、といい加減なデータを作るのではなく、制作サイドとしては極力まっとうなデータを作り上げるよう努力すべきだと思う。


      ●カラーマネージメントのチェック用ファイルを公開


      今回カラーマネージメントが効くか、効かないかの判定に使ったPDFをWEB上で公開しています。使用上の注意をよくお読みの上お使いください。


      http://www.zenji.info/cn16/pg131.html


      (初出:「日刊デジタルクリエイターズ」2010.3.11)

      | カラーマネージメント | 06:23 | - | trackbacks(0) |
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